Kiyu Nishida

ja.   en.

chain of responses


  • パフォーマンス, コミュケーション, 植物生体電位, ネオ・サイバネティクス, ネットワーク
  • 公開時期: 2022-02
  • 《chain of responses》は、生命の刺激と反応の連鎖というプリミティブな現象から人間とその他の生命とのコミュニケーションを問うパフォーマンス作品である。

    本作品ではパフォーマーと5つの植物の間で、光に対する刺激と反応が円環状に連鎖します。それぞれの生命は異なる場所に置かれ、刺激と反応はインターネットによって接続されている。光の照射と遮断は、植物の光合成に影響し、その結果として植物生体電位が変化する。変化は機械が読み取り、インターネットを介して次の生命へとリレーする。光の状態が変化してから植物の反応が現れるまでの時間は植物個体によって異なる。パフォーマーも同様にスイッチを制御する。すなわち、反応が刺激となり円環状に連鎖することで、自らの刺激として戻ってくる。それぞれの生命の様子はZoomを用いて中継されており、その連環がモニターに映し出される。
    パフォーマーは初期値としてパフォーマンスの最初にスイッチをオンにし、しばらくしてからオフにする。実際のパフォーマンスは8時間以上におよんだ。

    本作品では、情報学者の西垣通が提唱する「基礎情報学」を参照している。基礎情報学とは生命にとっての「意味」から情報を捉え直す学問であり、ネオ・サイバネティクスに位置付けられる。基礎情報学によれば、一般的なコミュニケーションモデルの起源は、シャノンの情報理論とされる。このモデルは、機械の情報伝達を扱う理論であったが、生命と機械との差異に関する議論が十分されないまま、人口に膾炙した。こうした背景から、基礎情報学では「階層的自律コミュニケーションシステム(HACS)」を提案し、コミュニケーションを再定義する。このモデルによれば、上位のシステム(=モニターに映し出された連環)から見たとき、下位のシステム(=それぞれの生命)が一定の機能(=照明の状態を伝達する)を果たしているように見えるとき、下位システムの間でコミュニケーションが行われたと言える。この議論に従えば、下位システムにとってのコミュニケーションとは刺激に対して反応するという生命活動に他ならない。

    本作品では異なる生命の間での刺激と反応の連鎖というプリミティブな現象からコミュニケーションを問う。私たちの現在のコミュニケーションは、約40億年前に地球上に生命が誕生してから、現在に至るまで行ってきた刺激と反応の連鎖とその結果のフィードバックの繰り返しの蓄積の延長線上にあるのではないだろうか。

    展示

    西田騎夕, “chain of responses”, つくるもの、つくるあたま展, 愛知, 2021/11
    西田騎夕, “chain of responses”, IAMAS 2022, 岐阜, 2022/2
    西田騎夕, “chain of responses”, KUMA EXHIBITION 2022, 東京, 2022/3